

O氏の仕事は、近くの水産市場で、魚介類の調査をすることだそうで、翌朝早く市場に出かけた。その間にO氏のアパートから200mmの望遠で近くをカメラに納めた。
O氏の部屋はは公務員の高級アパートの一室で、周りは高層ビルが建ち並び、さすがにモロッコ一の大都会の風貌を示していたが、近代的なビルの彼方には、カスバを思わせる一角も見ることができた。港の方にはモロッコ海軍のものらしい軍艦も見えた。

やがて調査を終えたO氏が戻り、弟が来ているはずの、協力隊員のアパートにつれて行ってもらった。そこはO氏のアパートとは比べものにならないほど、薄汚れたビルの一角にあった。表通りから一歩裏通りにはいると、狭い路地が続き、案内してもらわなければ、とても一人でたどり着くことができない迷路の様なところである。薄汚れたアパートの一室に、これまた薄汚れた弟がいた。何年ぶりかの出会いであった。
弟の車で一路マラケシュに向かうことにした。
書くのを忘れていたが、タンジェの駅で名古屋のS君という日本人と出会い、O氏宅にお世話になっていたが、彼もマラケシュまで同行する事になった。

町を抜けると、そこには見たことのない景色が広がっていた。中には30Km一直線の道もあった。狭い日本では考えられない光景であった。時々道ばたに人が倒れていて、S君が「人が死んでいる」と叫んだが、弟の説明によれば、ただ寝ているだけのようである。
それにしても30km一直線の道はすごかった。ポンコツのルノーは悲鳴を上げながら、時速120kですっとばして居た。遙か彼方に豆粒の様な黒い点が見え、それが車であることがわかって、20秒ほどですれ違う。このあたりは、2車線の広い道であったが、すれ違うときには、手に汗がにじんでしまった。すれ違うベンツやシトロエンなどはたぶん200K位は出していたのだろう。
夕暮れ近く、ブーゲンビリアの赤い花の咲き乱れる、マラケシュの町についた。
白い町カサブランカに対し赤い町マラケシュは、噂に違わず美しいまちであった。
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